「MVNO業界の“サブブランド規制論”に違和感」という記事に違和感

BBNews

MVNO各社の主張に「違和感がある」という記事です。


記事の大まかな内容としては

MVNOが提供する通信サービス(いわゆる「格安SIM」)は、お昼時や夕方など混雑する時間帯に速度が出にくい傾向にあるが、UQ mobileとY!mobileは、お昼でも十分な通信速度が出る。MVNOとサブブランドが同じ格安料金なのにもかかわらず、サブブランドの方がはるかに高速な状況が公平な競争といえるのか? というのが一部MVNOの言い分だ。

とし、これに対して「違和感がある」と書いています。

MVNO業界の“サブブランド規制論”に違和感

その違和感というのが以下のような内容です。
Ymobileに関しては

ドコモも月額1780円~の「シンプルプラン」、auも月額1980円~の「auピタットプラン」を提供しているが、大局的に見れば、Y!mobileの位置付けは、ドコモとauの低料金プランと変わらない。ソフトバンクブランドではドコモやauのような“攻め”の料金プランは出ていないが、安いプランはY!mobileで、という形ですみ分けられている。

Y!mobileが非難されるなら、ドコモやauの低料金プランも非難されるべきだろう。

との事なのですが、そもそもYmobileのプランとdocomo、auのプランを並べる前提が間違っているんですよね。
Y!mobileの格安プランは2GBで初年度1980円。
docomoのシンプルプランの1780円というのはそもそもサブ回線での利用が前提、つまり親がパケットパックなどで大容量のパケットを持っていないとこの価格にならないんです。
そしてauのピタットプランは通信料1GBで初年度のみ1980円。2GB使うと2980円、3GBで3980円、実は全然安くないんですよね。

こんなプランを並べて「docomoとauの格安プランに文句言わないのはおかしい」というのはそもそもおかしいんですよ。
docomoのシンプルプランもauのピタットプランも非難なんかされないですよ、バカバカしすぎるプランでそもそも選択肢に入らないんだから。

次にUQに関しては

UQはあくまで企業努力でしっかりと帯域を確保している、ということになる。問題視するとしたら、UQだけが不当に安い接続料で購入できるようKDDIから優遇されているケースだろう。

総務省は「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」でこれを暗に禁じている。具体的には「MVNOが接続に際し、MVNOに対して不当な差別的取扱いその他不当な運営を行っている場合には、総務大臣による業務改善命令の対象となる場合がある」と規定している。また単純に、UQにはKDDIから大量の帯域を購入するだけの体力があるのだと思う。

と、書いているのですが、MVNO各社が「優遇されているケースだと思うから不公平だちゃんと調べろ」といってるのに「ガイドラインで禁じているからそんなことないはずだ」というのはどうなんだろうと思います。
そこを調べろって言ってるんでしょうに。

しかもその後に

UQコミュニケーションズはWiMAX/WiMAX 2+のインフラを所有するキャリアでもあり、KDDIと沖縄セルラーにWiMAX/WiMAX 2+のネットワークを提供している。例えばiPhoneやAndroidを含むauの現行スマートフォンはWiMAX 2+に対応しているが、WiMAX 2+で通信をするには、KDDIはUQから帯域を購入する必要がある。auスマホのユーザー数を考えると、KDDIがUQに支払っているWiMAX 2+の回線料は相当な額に上るはず。ここで得た収益を、UQがMVNOとしてauの帯域購入に充当していたとしても、何ら問題ないことだ。

と書いているんですよね。
つまりUQが膨大な資金をKDDIに支払って帯域を確保していても、そのお金はその後KDDIが補てんしているという話です。
これで「公平な競争」で「何ら問題ない」というのは無理な話だと思います。

この記事もよくあるサブブランド擁護の記事と同じように「サブブランドが規制されてもユーザーは得しないよ今安いんだからいいじゃん」という論調で締めくくっていますが、そうじゃないだろうと思います。

いわばサブブランドってソフトバンクとKDDIがMVNO潰しのために導入しているだけで、MVNOが死滅した後も同じような価格でサービスを提供してくれる保証なんかないわけですよね。
今までdocomo、softbank、auは横目で他社の価格を見ながら同じような値段設定をする事で自社の回線の価格を高価に保ってきていました。
他社どうしの3社間でもきちんと競争原理が働いていなかったというのに、これが今後MNO3社とそのサブブランドだけの市場になって、きちんと競争原理が働くわけがないと思います。

そのためにも、サブブランドもMVNOもMNOも、同じ土俵で戦えるようにする必要があると思います。

ただ、この記事をここまで読んでみて感じたことは、この記事がキャリア側に立ったポジショントークなのか、キャリア側に立ったメディアに書かされたライターが精一杯の反撃を入れた記事なのか判断が難しい、という点だと思います。

某I川君の記事ならすぐに「あ、ポジショントークね」とわかるんですけど。

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