BlackBerry二度目の終了に当たって思うこと

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QWERTY Sells…But Who’s Buying?

先日、2020年8月末でBlackBerry社とTCLとのライセンス契約が切れ、それ以降TCLはBlackBerry端末を製造、販売できなくなるというニュースを紹介しました。
今日はこちらについて色々と思うところを書いていきたいと思います。

■BlackBerry KEY3販売の可能性について

まずこちらについてですが、これは限りなく0に近いんだろうなと思っています。
「契約が切れる前に滑り込みで発売するかも」という意見もあるかもしれませんが、契約終了に基づいて製造のみならず販売もできなくなるわけで、そんな端末を今から売りに出すとは思えません。
そもそも提携を解消する理由はほぼほぼ「売れてないから」が原因なわけで、売れてない端末を最後にもう一台売り出すかというとそれは考えにくいですよね。

TCLは2019年の後半から自社ブランドのスマートフォンの開発に躍起になっていましたが、恐らくこの提携解消はそれ以前から決まっていたのかも知れませんね。

思えばKEY3に関しては製造中のリーク情報なども一切出てきませんでしたが、何のことはない、作ってなかったわけです。
作ってなかったらリークもしようはありませんね。

というわけで、BlackBerry KEY3の発売は無さそうと考えられます。

■キーボード端末の未来について

キーボード付き端末の今後についてですが、個人的にはかなり厳しいだろうなと思っています。
この場合のキーボード付き端末というのは横スライド方式の端末ではなく、縦型、ストレートタイプ、いわゆる「BlackBerryタイプの端末」の事を指します。

よく耳にするのが「BlackBerryが無くなってもQWERTYキー付き端末が残ってくれたらそれでいい」という意見ですが、一言でいうと「BlackBerry端末の死はキーボード付き端末の死に等しい」と言えます。
私自身BlackBerry社に対する愛着などはとうの昔に枯れ果てており、「まともなキーボード付き端末が出てくれたらBlackBerryから乗り換えるのもやぶさかではない」という考えなのですが。
これまで色々なキーボード付き端末を使ってきましたが、BlackBerryを除いてまともに使える物はほとんどありませんでした。

参考までに私が過去に使ってきたBlackBerry以外のキーボード付き端末を思いつくまま書いていきますが。
Palm:Treo650、700、750、Pro、500、TungsrenC
サムスン:X01SC、SC-01B、i780
NEC:テライン
HTC:ChaCha
uniheartz:Titan

辺りになります。
思ったより少ないですが、ぶっちゃけ海外の良くわからないメーカーの端末を除けば大体大筋は押さえていると思います。

まずPalmのTreoシリーズですが、650はPalmOSを、700はWindowsMobileを搭載したストレート端末になります。

650、700あたりに関してはキーボードの出来は結構良かったのですが、750、500あたりから少しキーの取りこぼしが発生、Proに至ってはかなり残念なキーボードになっています。

また650、700あたりのキーも当時は出来の良さに感動もしたのですが、BlackBerryと比べてしまうと…という印象です。
TungstenCはPalmOSを搭載した横幅のある大きめの端末で、しっかりしたキータッチで文字入力がやりやすかった覚えがあります。

ちなみにPalmは会社が既に無くなっています。

サムスンのX01SCはWindowsMobileStdを搭載した少し横幅のある端末です。
こちらの端末のキーボードは比較的出来が良かったのですが、少しスリムな形状のSC-01Bに関してはキータッチが固すぎて全くダメでした。

i780は上記二機種よりかなり以前に発売されていたwindowsmobile端末です。

CPUが高速でかなり良い端末だったのですが、キータッチは硬めでイマイチでした。

サムスンはキーが硬めの傾向がありますね。

NECのテラインは防水端末という特性もあるからか、キーボードがカチカチでまったく論外でした。

何度も何度もキーボードを押して揉んでほぐしたりもしましたが、快適な文字入力というものからは程遠いと言えます。

また、UIが画面タッチ+キーボード入力という方式で作られており、タッチとキーボードで入力系がとっ散らかるという最悪の端末でした。

HTCのChaChaは少し横幅のある端末ですが、キータッチが非常によく、優秀なキーボードを搭載している端末だと言えます。

ただ本体のメモリなどをケチりすぎまともに使えない端末に仕上がっていたのが非常に残念でした。
まぁ、Treoも実はHTCが作っていたので、HTCには少しマシなキーボードを作るノウハウがあるのかもしれません。

unihertzのtitanは自称パスポートの後継という触れ込みで登場しました。
防水防塵仕様で非常にごつい形状ながら水没で壊れた場合は補償はしないという謎の端末になります。

キーボードの出来は、しっかり押さないと取りこぼしが発生し、大型幅広の端末のキーボードをポチポチとしっかり押す必要があるため、文字を入力する作業に集中する必要があり、文字入力に没頭することが出来ませんでした。

おまけにちょっと色物を紹介しておきます。

HTCのTouchDual
これは縦スライでキーボードが出る異色の端末でしたが、キーがペラペラだったんですよね。

デザインが可愛くてそれだけが大好きな端末でした。

iPaqのキーボードジャケット。
これは日本では確か未発売だった気が。
ジャケットシステムとして着せるタイプのキーボードでした。

まぁ悪くないキータッチでしたが…

というわけで、どこの会社もキーボード付き端末に関しては、キーボードを作る技術がない会社か、端末を作るセンスが無い会社しかないとういのが現状だと言えます。
会社自体無いというのもありますし。

BlackBerryが死ぬ事と、キーボード付き端末が死ぬ事がほぼイコールだという事はこれでご理解いただけたと思います。

■BlackBerry社がスマホ販売を再開する可能性について

今回の契約の終了はBlackBerry社がスマートフォン製造を再開するため、という噂を聞きます。
この噂は最近BlackBerry社のCEOであるjohn chen氏が「携帯電話の製造販売に興味がある」と発言していた事を受けての噂だと思います。

ここの所BlackBerry社は業績が好調ですし、端末事業に色気を出し始めるというのもあり得ない話ではありません。

BlackBerry社がスマホの製造販売を再開する場合、以下の2つのケースが考えられます。

1.再びBlackBerryOSでスマートフォンを作る
2.AndroidOSでスマートフォンを作る

1.の場合はBlackBerryOS10が復活かなと思います。
こちらはかつて、john chenがBlackBerryBold9900のようなシンプルな端末をどこかが作ると思うと発言したというこちらの記事を根拠としています。

独自OSのいいところは自社の良いように仕組みを作りこめることで、今のAndroid端末では実現が難しいであろう機能を実現することが出来ます。
例えば個人的に「セキュア」な端末に求めるのはDTEKのようなアプリではなくて、アプリごとの起動に指紋認証を付ける事が出来るであったり、初期化した端末からデータを復活できないようにきちんと消去が出来るであったり、Lockerアプリの暗号化領域を標準装備にして、ファイルごと、フォルダ毎などに認証をかけることが出来るようになったり、SDカードもきっちり暗号化して抜かれても勝手に中を見られないようにする、というような機能なのですよね。
そういう機能であればコンシューマー層にも訴求しやすいのではないでしょうか。

ただ、今更OS10を採用するという事は、アプリケーションが圧倒的に足りないという非常に不利な状況からのスタートとなり、また各国の言語サポートをどうするのかという問題も残っているので(BlackBerryOS10の日本語入力ソフトは未だに史上最低レベルなので他国の言語入力の出来がいいとは到底思えません)そこから盛り返していくのはなかなか厳しいと思います。

現実的なのは2.かなと思うのですが、いずれにせよBlackBerry社が端末を出すのであればビジネスユースを見据えた端末になり、いまだコンシューマー層にはその価値を認知されていない「セキュア」で高価な端末が製造販売されるんだろうと思います。

本当にいい加減BlackBerry社は「セキュアである事」と「キーボード端末」を無理やりくっつけて売ることを諦めればいいのにと思います。
セキュアであることは望ましい事ですが、それがコストとして端末の価格に乗ってくることを容認するほど、今のコンシューマー市場はセキュリティを必要としていないと思います。

そもそもBlackBerryがセキュアっていうのもBESの回線がセキュアなのであって、日本で展開されてたBISの回線はただ通信を圧縮しているだけですし、BoldとかもROMとかハックされまくりでしたしね。
セキュリティセキュリティってやかましく言いだしたのってOS10からの端末事業やめてからだと思いますけどね。

普通のAndroid端末でいいので、毎月のアップデートをきちんと提供してくれて、打ちやすいキーボードを付けた端末、というのを手ごろな価格で発売してもらえればもう少しシェアは増えるのではないかと思われます。

でもかつて赤字部門だった端末事業を切り離して、他社とライセンス契約をして販売させて、それでもうまく行かなかったものに再度チャレンジするとは、あまり考えにくいんですけどね。

もちろん、出たら買いますけど。
キーボードが付いていれば。

とりあえず一番望ましいのはキーボードに関する特許だけを安価にライセンスしてくれることですね。

■私たちのやるべきこと

KEY3が出ないとなると今のユーザーのやるべきことは自ずと限られてきて、私としては二つの事を考えています。
ひとつは最悪の事態を見越したKEY2の予備機の確保です。

最悪の事態というのは、このままどこもBlackBerry社と端末製造販売の契約を締結せず、BlackBerry社も端末事業に復帰しない状況。
つまりまともなキーボード付き端末が今後販売されないという事態です。

今あるKEY2がすぐに使えなくなるわけではありませんが、今あるKEY2も徐々にキーボードやバッテリーなどがヘタって使えなくなる事は確実です。
AmazonやExpansysなどで今販売されている端末を入手して確保しておく必要があると思います。
個人的にはブログの更新やSNSへの投稿に用いることを考えると、KEY2のスペックって必要十分なんですよね。
KEY3が出るとしてもRAMやストレージを増やすか、CPUを少し高速にするか、カメラをもう少しまともにするかぐらいしか改善点は思い浮かびませんので、KEY2で戦い続けることにさほど苦労は無いと思っています。

問題はもう一つの方で、キーボード付き端末が忘れ去られていかないように、blogやSNSなどで定期的に情報を発信していくことです。
利用者がいる事、市場がある事をアピールするためにも、定期的に「使っています」という事を書いていく必要があります。

KEY3が販売されなくても、BlackBerry社が端末を発売しなくても、FanSiteはとりあえずしばらく続けようと思っています。

しかしながら、利用者の皆さんも定期的にSNSなどで情報を発信していかないと、BlackBerryは忘れられて本当の意味で死んでしまいます。

どうか、利用者の皆さんも、こういった何かのイベントがあるときだけ騒ぐのではなく、「便利です」「好きです」といった発言だけでも構わないので、定期的に情報発信を心掛けてください。
BlackBerry社に未練も愛着もありませんが、BlackBerry端末が滅んでしまったら、キーボード付き端末は滅んでしまいます。

コメント

  1. sunmi より:

    嗚呼、TITANを先日手放した直後にTCL製BlackBerry終了のアナウンス。
    TITANは大きいし、冷静になると2年前のKEY2と同等なので乗り換え対象では無いのとKEY2のスペックであまり困らないなと判断して、KEY3が出るまで待とうと判断した途端のアナウンスでした。

    セキュリティとキーボードを切り離したという意味ではUnihertzに期待ですね、Titan Liteとして外装にコストをかけず、スリムでスペックアップしてくれたらと願うばかりです。
    本家とすみ分ける必要無くなった今、あり得ない話でない!?

    • Kuro より:

      unihertzに端末を小型化する技術があるとは思えないので、とりあえずはKEY2をもう一台買って乗り切るしかないような気がしています

      • sunmi より:

        なるほど、スリム化できないからタフな方向で誤魔化しているという見方もできますね。
        フットワークの軽さ、コモディティ化、画一化するスマホ市場でハードウェア側で差別化を試みるメーカーとしては期待しちゃうんですよね。
        Atom XLの次は、Titan Lite出してくれないかな。

  2. Q10使用者その1 より:

     キーボード付き端末がなくなると、当方のような特殊なシッカリ押した感覚がないとキー操作が出来ない個体(手指の触覚が神経の壊死によって不確かになってしまっている個体)には致命傷だったりします。当方は元祖和製スマートフォンであるシャープのW-ZERO 3esからのキーボード端末はじめでしたが、その後、ブラックベリーの存在を知りましたが、PHSではなく、ましてやNTTなんていう大嫌いな企業が扱っていた事もあり、さほど日本語変換が賢くないということも知って、シャープのアドヴァンスドW-ZERO3es(通称アドエス)を2016年まで使用してきました。このアドエスはATOKを標準装備していて、メッチャ使いやすく、変換で苦労したことは全くなかったからこそ、長年使えたのだと思っています。ただ、メール環境が対応できないところまで来ると致し方なく、他を頼るしかなく、そこで一度はカッコ良さに惹かれたこともあるブラックベリーに乗り換えることにしたのです。
     そういう経緯から、今回のお話を知って、また流浪の旅か、その終着点に至る日に向けた用意を始めなければならないのか…と正直”お先真っ黒や”って感じです。unihertzのほかは、planet computerくらいしかキーボード付き電話端末を売り出していない中では本当に厳しいですね。Key3を実は期待していたりしたので本当につらいです…

    • Kuro より:

      KEY2を買ってこの先二年ほど戦うと良いかも知れないです
      W-ZERO3は有志で応援団を作って紹介本を買いたりいろいろ盛り上げるために奮戦した端末です
      asciiのファンサイトで記事書いたりもしました
      アドエスはesと違ってキーを出した時の角が手に刺さらないよう改善されていたりと、良い端末だったのですが、W-ZERO3、es、アドesと流石に横スライド食傷気味だった私にはあまり響かなかったんですよね
      結局シャープその後きちんと物づくりしなくなってW-ZERO3も収束してしまいましたが、あれはシャープがそうなのか、ウィルコムが望まなかったのかどっちだったんでしょう

      • q10使用者その1 より:

         シャープは見る目がなかったと思っています。(親族にシャープ関係者がいるのですが、その方もその辺は諦めていましたね)ウィルコムから日本語入力に書院を実装したW-03を最後に出してはいましたが、折り畳みパカパカフィーチャーフォンの売り上げに胡坐を組んで、その修理部門では”(修理台数の)数を上げろ”などという一般人が聞けばハーァ?と聞き返したくなるようなハッパが上長からあり、現場作業員だった友人は”こんなヒンジの弱い端末ではソラァあかんやろ”と思いながら日々”台数処理”していたようですね。世界の亀山の末路は、もうそんな頃から始まっていたのでしょう。(その亀山でシャープ社員の悲劇を生みつつアイフォンとやらが生産されていたのを知らない人は多いー亀山から久宝寺、そして堺に流された社員の悲劇もあり)その昔、PDAを出していたカシオ(カシオペア)やNECなどもPDA製品をラインアップしなくなり…そしてあのノッペリとした画面の化け物が生まれてくるような状況のなかでは、本当にPHS戦線で闘う当方のような個体には無援の極北状態でした。”日本製”に拘る連中がPHS戦線から逃亡し、パカパカフィーチャーフォンしか使わないと豪語していたような連中も”アイフォン”にアッサリ浮気するありさまには呆れてしまいました。
         ま、そういう中でウイルコム自体もウルトラモバイルPCかなんかにうつつを抜かしたりしながら見切りをつけたのでしょうね。
         時々、スマートフォンの歴史をアイフォンからと口にして恥じない連中に、京セラがPHS端末で出していたりしたPDAなんかの話をしたりしながら、W-ZERO3の話をすると軽くスルーされますが、Yもばいるに今も残るような社員の中には驚きと喜びをもって当方の小話に付き合ってくれる人も。(希少ですが)
         また流浪の日々になりますが、仰せの通り、一応KEY2という選択も視野にしてはいます… titanやcosmo communicatorのクラウドファウンドキャンペーンにあれだけの資金が集まり、ノッペリな画面のお化けばかりが求められているわけではないという結果も一応あるので、志のあるメーカーなどが余興的にでもよいからやってくれれば助かるのですが。

  3. BB9900ファン より:

    WIREDの記事にコメントできなかったのでこちらで失礼します。
    当方最終BBは9900でした。感傷に浸りつつこのサイトを見つけました。

    主さんが書かれていることの方が正しいのでしょう。しかし、記憶が薄れつつある1ユーザーだったものとしては、WIREDの内容は頷きながら読んでしまいました。

    それほどまでにBBが一定の地位を回復するのが圧倒的に下手なブランドだったということなのでしょうね。

  4. 並行輸入でもいいのでKaiOSの日本語可な機種が出てこないかなあ。 より:

    はじめまして。楽しく懐かしく拝見させていただきました。
    私のデータ用携帯端末遍歴はPDA端末のPalmOSにはじまりガラケー真っ只中の時代にNokiaのSymbianOS機とWindowsMobile機を同時使用しiOSを経てAndroidに至るのですが縦型の物理qwertyキーを持った機種としてはSoftbankのHTC端末でX02HTが使いやすかったですね。
    このWindowsMobileなX02HTは軽量でスーツの内ポケットにも収まり(前作X01HTは重かった)それこそBlackBerryほどではなかったもののキーは打ちやすくボロボロになるまで弄り回した愛機です。当時Outlookで予定管理していた私にとって同期をとると秘書代わりとなり横長な液晶は時刻表アプリが見やすくとても思い出に残った端末となります。
    BlackBerryは終了ですか。。。オバマさんの愛機だったようですがセキュリティ的にとても優れた端末だったのに一度も手を出せず残念です。

    • Kuro より:

      手を出せない層を取り込めなかったのが敗因の一つだと思います
      特にOS10への移行失敗が痛かったんじゃないでしょうか

  5. たまら より:

    blackberry について詳しく書かれたこのサイト、何度も訪れ、拝見させていただいてきました。感謝申し上げます。国外で使い始めて以来、スマートフォンは blackberry 以外使っていません。使う気になれません。priv でも key 2 でも買って一日でも延命させてまいる所存です。

    ぜひ、ここでも書かれているように、つづけていただいて、blackberry ユーザー、黒いちごファン、マニア、おばか、なんといわれてもblackberry を使いつづける、物理キーボード万歳! の灯火が消えぬよう、ぜひぜひマニアックにつづけていただきたいとおもいます。ひとことでも応援したく、書かせていただきました。

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